« 私のお守り(ガリビエールヘルメット再生) | トップページ | 五竜岳GⅡ中央稜(ビバークのオマケ付きやね!) »

2014年5月 8日 (木)

トっちゃん、キジ撃つな!(明神岳東稜)

2014年5月は下記の4山行が組まれていました。

(1)明神岳東稜 (5名)

アルパインを目的として総合的な登山技術が要求されるルートを選択、若手のレベルアップを目指す。

(2)五竜岳東面GⅡ中央稜、GⅠの継続登攀(2名)

海外も視野に入れたロングルート登攀で技術気力を養う。

(3)爺が岳東尾根~鹿島槍ヶ岳縦走(2名)

静かな山域ではあるが苦しく長い東尾根から長駆鹿島槍ヶ岳を目指す、体力勝負

(4)銀杏峰、姥が岳(5名)

福井の知られざる山々を探訪する。

クラブ雲峰の歴史を振り返っても4山域に14名が出掛けた記録も記憶もありません。

メンバー各人が自らの方向性に沿って行動する姿勢が現れていて、クラブ雲峰は活性期を迎えているのだと実感しましたね。

それでは、まず明神岳東稜のレポートから始めます。

2014年5月3日の早朝、平湯からジャンボタクシーで上高地に入った。(事前に予約を入れておいたのでタクシー会社のパーキングで仮眠、車も預かってくれる)

明神東稜組の顔ぶれはトっちゃん、ナオヒデ君、Mッチ、ナオキ君、そして私の5名です。

Dc20140503_070001_2

明神橋を過ぎ、養魚場跡の壊れた丸木橋を渡る所からアプローチが始まる。 これ橋?かなり不安定で要注意。

Dc20140503_073356

下宮川谷から宮川のコルへの分岐点です。露岩にペンキ印が有るのでそれと解ります。

Dc20140503_093356

それは突然の事だった。

宮川のコルを越えⅣ峰下をトラバースして岳樺の疎林に入る手前でトっちゃんが腹痛を訴えた。

「スマン、腹具合が悪いからキジ撃ってくるわ、待っててな」

我々がザックを下ろした途端、下からドーンと突き上げるような強烈な衝撃が来た。

「ななっ、何や?」

Ⅳ峰から、ザーッ、ガラガラ、ガーン、ゴーンと雪崩と落石が発生した。

「地震やぁ~!今のは大きかったなぁ、震度4はあるぞ」

P1000919

危険を避けて長七側へ回り込むようにヒョウタン池へ向かった。地震の2発目を喰らったのはその途中でした。

東稜の側壁が崩れて雪崩と落石が駆け下って来た。

幸いにも我々が取ったルートが正解だったのか、直撃されず事無きを得た。

P5030015

ヒョウタン池には12:00前に到着した。今日はラクダのコルまで上がる予定としていたが3パーティーが先行しており、テン場の確保や明日のバットレスの順番待ちを考えると、否、それよりも地震の事が頭から離れず、ここで幕営するのが良いとの結論に達した。

そして地震情報をラジオで確認してみた。

震源地は飛騨地方と告げている。

「エーッ、震源地の真上に居るんかいな!」

余震は続き、何度も思わず腰を浮かす。

後で知ったが西穂ロープウェイも止まったし、釜トンネルと大正池間も落石で一時通行止めとなったらしい。

帰路に見た落石は軽四くらいあり、それが防護ネットに引っ掛ってかろうじて止まっていました。

P1000983

5月4日、一時崩れた天気も持ち直したようで山々はモルゲンロートに輝いた。

これから登る東稜下部の核心部は(第一階段)と呼ばれている。昨日のパーティーはスタカットで登っていたようだ。

「意外と雪が消えているようやね、さてどこを登る?」

ルートを目で追っていました。

Dc20140504_081716

早朝でもあり雪は締まっている。アイゼンは効くし、何よりダブルアックスが悩ましい草付きでもバッチリと効くのが嬉しい。急峻な雪壁が続き、一気に高度を上げていきます。ヒョウタン池が小さく見える。

Dc20140504_083958001

正面に明神岳主峰(2931m)その先に前穂高岳(3090m)が見える。

前穂の手前が奥明神のコルだ。

Dc20140504_090835

ラクダのコルまで登って来ました。

たおやかな雪稜、空は群青に何処までも澄み、天と地の境界を歩むクライマーの気分は弥が上にも高揚する、そんな瞬間がここにある。

コルで小休止となり、トっちゃんが、

「キジ撃って来るわ」

「止めてくれ~、お前がキジ撃ったら地震がまた来るわ!」

冗談を言った途端、グラグラと大きく揺れた。

「わぁ~ホンマに来よったぁ、トっちゃんのキジ撃ちは安全圏に入るまで禁止やぞ!山の神さんが怒ったはる」

P5040018

東稜バットレスの下部は壁左の雪壁を登ります。

時間の経過ともに雪面も緩んできます。この先、より慎重な行動が求められます。

Dc20140504_094733

この小さな壁がバットレスだ、これを乗り越えた先に明神岳主峰がある。

Dc20140504_100932

3級プラスの壁でも重荷を背負ってアイゼン装着では厳しいよね。

Dc20140504_104244

下又白谷へスッパリと切れ落ちた高度感は堪りませんね。茶臼ノ頭も下に見えています。

Dc20140504_102725

後続はフィックスしたロープにアッゼンダーをセットし、スピーディーにバットレスを越えて行きます。

Dc20140504_111223_2

バットレスを越え、急な雪壁を登り切れば明神岳山頂に達する。この辺りから日が陰り始め風も強く吹き出した。

Mッチが言います、

「ヤバい場所ではザイルを出してくれると思ってましたけど何にも言わんし、怖かったぁ」

「俺はそれより地震が怖いわ!一発ドーンと喰らってみーな、雪ごと奈落の底やぞ!」

Dc20140504_112828

明神岳東稜を抜けた。後方に大正池や、焼岳、乗鞍岳、御岳が並んで見えています。

P5040025001

明神岳(2931m)山頂到着11:30でした。

Dc20140504_115118

太陽は笠を被り、日差しは消え、冷たい風が吹き出した。

「早よ安全圏に逃げ込もうや、寒いわ!」

天気は崩れ出している。明日は荒れ模様となるだろう。

Dc20140504_115123

明神主峰からの下降も気が抜けない。滑れば一巻の終わりとなる。緊張の時間が続く。

P1010090

奥明神のコルまでは安全を期して25m懸垂2回で降り立った。

Dc20140504_135434

「あんたもエエ歳なんやから、いつまでも山でアホな事せんと家で孫の守りでもしてたらどうですか?後は俺達がやりますから!ボチボチ引退したら如何?」

なんて言われてるようですね。

Dc20140504_140124

奥明神沢を下れば岳沢です。ブロックと落石には要注意だ。雪は思ったほど緩んではいなかった。

Dc20140504_152611

岳沢ヒュッテには15:00前に降りてきました。

P1010119

Mッチもナオキもビール、ビールと連呼しています。

「お前らはアル中か、それやったら致死量を超えるまで飲んでみるか!」

こうして地震に驚かされた山行は終わったのです。

パンパンに張った脹脛を撫でながら、

「疲れたけど、地震も怖かったけど、楽しかったなぁ」

ご同輩諸君、後輩諸君、感謝感謝です。

 

« 私のお守り(ガリビエールヘルメット再生) | トップページ | 五竜岳GⅡ中央稜(ビバークのオマケ付きやね!) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: トっちゃん、キジ撃つな!(明神岳東稜):

« 私のお守り(ガリビエールヘルメット再生) | トップページ | 五竜岳GⅡ中央稜(ビバークのオマケ付きやね!) »

フォト

ブログリンク

無料ブログはココログ
2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

最近のトラックバック