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2014年5月10日 (土)

五竜岳GⅡ中央稜(ビバークのオマケ付きやね!)

続きまして今年から雲峰のメンバーとなったユタカ君がタカちゃんから贅沢にもマンツーマンの暖かい?ご指導を受けた五竜岳GⅡの報告です

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5月3日

白馬五竜スキー場をスタート。

GWということもあり、大勢の登山客がテレキャビン麓とおみ駅に溢れていた。45分の待ち時間でアルプス平に上がった。

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快晴の中、遠見尾根を五竜、鹿島の峰々を眺めながら今日のテン場となる西遠見先のコルを目指す。

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「なぁ、ええ天気やろが、俺って晴れ男なんやでぇ」

タカちゃんはきっと言ったと思う。

しかし、次第に天気が崩れて雨模様となる。

「これはユタカ君が雨男なんや、君のせいやね、俺と違う、俺は晴れ男!

と言ったとも思う。

雨の中、西遠見にテントを設営する。

ここをBCとして明日はGⅡ登攀に向う事となる。

夜間、強風に呷られてBCテントが吹き飛ばされては堪らない、明日はテン場を移動させる事にした。

タカチャンはモンベル#1の最新モデルで最高の眠りを実感したという。

「暑う~、汗かいたぁ」

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5月4日

03:00過ぎに起床、05:30昨夜の雨でバリバリに凍り付いたテントを撤収する。

少し戻ったブッシュの陰に再度テントの設営をしようとしましたが雪面はガチガチに凍り付きペグの1本も埋めることが出来ない。テントはデポして行くことにした。

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07:00過ぎにデポ地を出発、白岳沢を下り、GⅡ右サイドのルンゼへ向かう。

バリバリの最新装備で身を固めたユタカ君。

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こちらのお方は何十年も昔のインターアルプのバイルなど骨董品を駆使して登ります。

「私の事を歩く登山博物館と呼んで下さい」

09:30取り付きには先行の2パーティーが居る。後続していた1パーティーはG0へと向かって行く。我々が最終パーティーとなった。これで今日はジックリと楽しく登れそうだ。 

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「じゃあ、ユタカ君、行こか」

「エッ、僕がトップですか?」

「何かご不満でも?」

セカンドで登る気でいたのですが、

「よっしゃ、行ったるぞ!」

ビビる気持ちを抑えて、嬉しさが湧き上がる。

1P目は2m程の壁にアイゼンの前爪を掛け、草付きにアックスを打ち込み、一気に乗っ越しました。続いて傾斜のある岩場と草付き、そして時折り現れる雪の詰まったルンゼを登ります。

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3P目、雪のルンゼは突き当たりとなり、先の岩の上にもブッシュが出ている。行手を拒むように茂った這松帯を何とか突破しようともがき格闘。回りを見渡しルートとなりそうな地点を探った。

「そっちの這松の方はどうや?行けるやろ?」

とお助けの声が。そこは無いなと思っていたポイントだ。左隅1m幅に隙間無くビッシリ茂った這松がある。

「ここかぁ~、よし、行ける!」

枝をシッカリと掴み、一気に乗り越えて行った。

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その後も続く胸を突く高さに茂る這松帯を上部に見えるリッジ目指してひたすら掻き分けて登る。

「これがバリエーションルートかぁ、バリエーションとは、即ち、這松を漕ぎ道なき道を進む事と見つけたり」

それにしてもセカンドで登って来るTさんは速い速い、ビレイが追い付きません。

「こらユタカ!ザイルが弛みまくってるやないかい!」

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後は尾根沿いに高度を上げて行くだけと安易に考えていました。しかし、今年は融雪が早く進んだようで雪は消え、果てしなく続く這松帯。

尾根沿いを進むのも大変でウンザリします。

「這松マニアになりますわ、あ~松ヤニ臭い!」

その後に現れたのはガレ場です。一歩進むの足場が崩れ流れて、これも厄介な事です。これなら這松の方がましだと自ら茂みに飛び込む。

「俺って完全な這松マニアですね」

やがて切り立った岩稜帯へ。右方向に雪稜の様なものが見える、その方向へと向かったが、実際はルンゼの上部で進む事が出来ず左側へ巻いて行く。

「そこに稜線が見えてるのに、中々近づかんなぁ」

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日が暮れようとしています。

「ビバークポイントを探そうか?」

流石はビバーク魔のTさん。左の雪面中央に這松帯があり、そこをビバークポイントにしようと夜間登攀の開始となった。

「1日は24時間も有る。暗いだけで行動は出来るわい」

「LEDは明るいやろ、夜間も関係ないでェ」

おそらくユタカ君はこうハッパをかけられたのだろう。

ダブルアックスとキックステップで雪面をトラバースする。いつしか辺りは闇に包まれていたが寒さも感じず超快適な登攀だ。

這松帯も傾斜がきつくビバークサイトにはならない。さらに雪面をトラバースし、雪の詰まったルンゼを直上する。

雪壁の上部には平地があるだろうと上がってみたが、そこはナイフリッジとなって反対側に切れ落ちていました。

ナイフリッジの先にある岩峰基部に2人が座れる場所が見つかった。ポイントを整理しツェルトを被ったのは真夜中近くだった。

強い風が吹き上げてツェルトがバタバタと呷られる。

初めてのビバーク、

「ビバークって、身体を寄せ合って暖め合いながら朝を待つんですか? ドキドキやね」

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5月5日

ドキドキ、ハラハラ、秘密のベールに包まれた夜は明けた。朝になっても風はおさまらず強く吹き付けてきます。

やがて細かい雪が顔を叩き出した。風雪の中、ツェルトを片付け2日目の登攀開始だ。ビバークサイトの上に聳える岩峰を登ります。朝一番の風雪の中での登攀で緊張します。アックス類はしまい込み、浮石だらけの不安定な壁を一歩一歩、慎重に登る。

暗闇の中、ビバークサイトから大きく威圧的に見えた岩峰も実際には1P程のものでした。

フィナーレはいつも突然のようにアッサリと訪れる。

ヒョッコリと一般登山道に飛び出した。視界が開けた。

「抜けたぞ!登ったぞ!やったぞ~」

通り掛かった登山者が怪訝そうな様子で見ている。

「お宅ら何処で寝ていたんですか?」

「はぁ、この下で一晩座ってましてん」

呆れた顔でシゲシゲと見つめられた。

こうしてユタカ君はGⅡ、GⅠ上部登攀の完登を手にしたのです。それに風雪のビバークと云うオマケ付きでした。

「これがクラブ雲峰なんやで、洗礼受けたなぁ」

これから逞しく、強く、ハイレベルなクライマーに育って下さいよ。

「俺、身体が弱いねん」

その虚弱体質のオッサン、本当にご苦労さんでした。

「ユタカ君、変な突っ込みを覚えたんと違うか?」

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