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2013年10月

2013年10月28日 (月)

雪彦山地蔵岳東稜で復帰戦

7月19日に左足を負傷したコッチャン、あれから早3ヶ月が経った。傷口は癒えたものの未だ完治への道半ばなのです。

しかし彼は元気なもので、日々、トレーニングに励んでいますし、人が止めるのも聞かずクライミングにも精を出す。

「あんたは不死身かいな?怪物やね」

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コッチャンの復帰戦をハル君とザコッペがセッティングしておりました。

それは10月28日(月)の雪彦山地蔵東稜でした。紅葉もボチボチと山肌を染め初めています。

今日は素晴らしい秋晴れの一日だ。

ハル君から報告と写真が送られて来ました。

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日曜日の妙号岩でのトレーニングではコッチャンの動きを観察していました。

「足は大丈夫そうやなぁ。そやけど絶対に無理したらあかんで!」

「分かってる、無理はせーへんわい!」

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絶好の登攀日和に恵まれて、最終ピッチのスラブを登っています。
そしてコッチャンから報告メールが送られて来ました。

「足は問題なく快調なクライミングが出来たぞ」

どうやら納得できる結果だったようです。

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この写真を見てホッとした。痛めた左足で立ち込んでいます。

「オーッ、これは完璧や!感覚が戻っているんや、良かったなぁ」

それにしても貴男は凄いです。コッチャン!

台風一過の秋晴れだ!

先週の日曜日は雨でした。そして今週末も台風27号がユックリと北上していて土曜日まで小雨が残った。

何とか天気は回復した。まだ岩は湿っているだろうとの懸念もあるが、妙号岩に集まれとの一斉メールが配信されてきた。

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先行していたMッチからメールが入った。

「今日は人が多いですよ、テラスもイッパイです」

対岸の菊水尾根から見た本日の妙号岩です。

「ワォ~!賑わう妙号岩とは珍しい光景やね」

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本日の参加メンバーです。10名が集まりました。久し振りに萬ちゃんも顔を出しています。

「石井ダムの階段はキツかったですわ!」

「オオッ、萬ちゃん、新品のハーネスやんか!やる気満々やのう」

そして欧州の長旅から戻った古ちゃんも、

「お帰り、古ちゃん、これからも宜しくお願いします」

O君は全縦トライアルの途中からUターンして来てクライミングしています。

賑やかな妙号岩となりました。

クラブ雲峰もこれからが正念場であり、楽しみでもある。

                      (知ってまっか?情報)

アプローチを妙号に向う途中で石井ダムへバードウォッチングに行かれる御婦人とお話しをした。

石井ダムにはオシドリが多く飛来しているそうです。

「オシドリの雄は綺麗ですよ。ダムの湖畔から間近で観察出来ます」

また、菊水山はサシバが渡りをする時期に観察するポイントとして有名なのだとも仰る。

「サシバの集結地で有名なのは伊良湖岬ですよね?」

菊水山からオラガ山(須磨)を経由して南へと渡って行くらしい。

そして山頂からは上昇気流を捉えたサシバが渦の様に群舞する鷹柱(タカバシラ)も見る事が出来るのだそうです。

「壮観やろなァ、一度見てみたいね」

知りませんでしたねえ、野鳥観察や自然観察も楽しいそうですよ。

「良い事を教えて頂き、有難う御座いました」

2013年10月16日 (水)

スポーツフェスティバル神戸2013(神戸登山研修所)

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10月14日(体育の日)はスポーツフェスティバル神戸です。

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素晴らしい秋晴れとなったこの日、王子競技場サブトラックでは様々のスポーツ体験や体力測定が行われています。

隣りにある相撲場の土俵では締め込み姿も勇ましいチビッ子力士が四股を踏んでいます。

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そして神戸登山研修所にも多くの小学生や父兄が訪れました。

神戸市主催となるスポーツフェスティバル神戸2013の一環としてクライミング体験コースも開かれたのです。

最近、子供達の間でもクライミングの人気は高く、何と募集定員の4倍もの申し込みがあり抽選となったそうです。

この人気が定着して登山人口の底辺を広げる事となるのか、それとも単なる一過性の現象なのでしょうか。

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ザイルのセット、装備品のチェックと、対応するスタッフも早朝から準備に追われていました。

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人口壁(通称サル山)に3本とピラミッドウォールに1本のルートをセットしました。

午前中に2グループ、午後に2グループ(合計60数名)子供達にクライミングを体験してもらいます。

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器用に登ってくる子も居れば、途中で下を見て、恐怖で動けなくなり泣き出す子も居ます。

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傍まで行って励ましたり、怒ったり、壁の中央で待機するスタッフも右へ、左へと大忙しとなります。

「怖かったか?もう二度とクライミングは嫌やろ?」

こう聞くと、涙を流しながらもシッカリと首を横に振りました。

下から親御さんが心配そうに眺めています。

登り切った子供達は親の元に駆け戻って胸を張り、目を輝かせて報告しています。

見ていて微笑ましくなります。

今夜の一家団欒で今日の体験が話題となってくれたら我々としても嬉しいのです。

「今日一日は孫のお守りをさせてもらったようなもんですわ」

兵庫県山岳連盟の皆さん、お疲れ様でした。

西垂水!紺の法被が風を切る!(垂水海神社秋祭り2013)

山の記事が続きましたね、少し息抜きでローカルな話題でも書いてみます。

今年も我が故郷(神戸市垂水区)に海神社秋祭りの季節が巡ってきました。(10月10日~10月12日)

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昨年は愛媛で行われた登山講習会への派遣と重なり、残念ですが祭りへの参加は叶いませんでした。

身内や知人達から言われました。

「去年は何してたんや、祭りにも顔を出さんと!

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古くは明石郡垂水郷西垂水村、その歴史と共に駆け抜けてきた伝統の布団太鼓が疾走しています。

「おお!今年も紺の法被が風を切っとるわい!」

ゴォ~と地響きを轟かせ、大鳥居を直角に曲がり、路面に轍を刻んでいく、

「西垂水、行け!行け!突っ走れ~え!」

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国道2号線を封鎖して行われる宮入りだ。台車を外した布団太鼓は拍子木の合図で一気に差し上げられます。

黒檀紫檀をふんだんに使って造られている太鼓台、その重量は2トンを優に越えると言われています。

息を合わせて差し上げる。こうして故郷の祭りを肌で感じるのです。

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「差せ!差せ! 落とすな、回れ、回れ!」

迸る汗に紺の法被が濡れる。男達の晴れ舞台だ。

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狭い鳥居を抜けて本殿へと入って行く西垂水の布団太鼓です。長年の経験が成す技がここに有る。

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10月12日(土)祭礼最終日(3日目)はご神体を乗せた神輿を御座船に移し海上渡御が行われます。

旧垂水郷5ヶ村が廻り番で神輿巡行を受け持つのです。

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独特の節回しで歌う神輿歌、「歌上げ」を行っています。

「祝うて目出たの若松様よ~」

「そらー、枝に枝差す、葉も茂る、葉も茂る、千代の神イサめ、サァ、シャントセー!」

「セーキャー、セーキャー」

神輿は垂水漁港へと向います。

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御座船に移乗する神輿を多く人々が見送ります。

今は漁港として整備された垂水港です。この一帯が砂浜だった昔は神輿を担いで海に入って乗せたものです。波に流され、神輿に押されて沈み海水を飲んだ叔父や先輩の姿を子供の頃から見ていました。

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塩屋漁港のお旅所での神事を終えた御座船が戻ってきました。船の向こうに見えるのがMちゃんが住んでいるマンションです。

「Mちゃんはエエ所に住んでるなぁ」

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鉢伏山は六甲山系西端の山です。宝塚まで56kmに亘る六甲全山縦走のスタート地点だ。

「こうして塩屋を海から眺めると良い町やなぁ、まるで高級リゾート地やで!」

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再び御座船を囲むように船団を整え帰路に付きました。

この日の沖合は白波が立ち、良い風が吹いております。

「エエ凪?やねえ、このガブリ具合が堪らんなぁ」

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若者達が乗り組んだ船は気勢が上がっています。

「沖に出ても練り合わせかいな?」

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波に揺られ、その上、船体左右にしがみ付いて、大きく船体を揺さ振りながら疾走する。

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海の男に許された神の庭での船遊びだ。

「船酔いする奴は乗船禁止やね!」

   
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久し振りに近くで眺める平磯燈台です。改装されて外観は変わっていましたが本体は昔の姿を留めています。

Ayumi_pic44      (インターネットで検索した画像です)

この燈台は明治26年(1893)に国産セメント(小野田)を使って作られた本邦第一号のコンクリート建造物なのです。

「凄いなぁ、120年も経ってるんや!」

この平磯は天然若布(ワカメ)の宝庫でした。長い竹竿の先に角のように枝を打ち込み、根元から絡め採っていました。女子供が浜で待ち、戻った船から揚げた若布を浜辺に張った綱に干していたのです。干し若布は垂水の名産品でした。

採ってきた若布からタツノオトシゴを見つけるのが私の楽しみだった。

この海は私達を育んだ豊穣の海です。

”われは海の子”の一節が口を突く。

「千里寄せ来る海の気を吸いて童となりにけり」

「渚の松に吹く風をいみじき楽と我は聞く」

「百尋千尋、海の底、遊びなれたる庭広し」

海辺に育ち、海辺に働き、海辺に住まいする。そんな環境に居て山へ登る。私のDNAは混線しているようです。

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東垂水、西垂水の2基が揃っての練り合わせです。

「エエか、西垂水の男気を見せたれよ!」

肩に食い込む強烈な重量に耐え、東西の練り合わせは20分を越えて続いた。

「ようやった!ようやった!満足、満足」

家内に言われていました。

「今年は見るだけにするんやよ!見るだけよ!」

夜も更けてホロ酔い気分でご帰宅です。

「今年もエエ祭りやったわ、ホンマ見てるだけでも楽しかったぁ!」

「ホォ~、見るだけねぇ?垂水のお祭りは凄いねぇ、見てるだけでも両肩が真っ赤に腫れるんや!」

「ウッツ・・・・・・」

2013年10月14日 (月)

木曽駒ヶ岳に登って、それから?

この連休にMッチは木曽駒ケ岳に登ったそうです。

強風でテントが張れず、小屋泊を嫌う彼らしく、その日の内に下山し、そして次に向かった先とは・・・

これは木曽駒ケ岳の記録です。

http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-357037.html   ← (クリック)

そしてこれはオマケで登ったお山の記録です。

http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-357242.html   ← (クリック)

雲峰も新しい時代に入ったようだ。

クラブ雲峰も世代交代の時期になったようだ。

入会して丸2年が過ぎ、今夏の剣岳山行で自信を深め安定感が見えるMッチ、これから総合的な技量の向上を目指す松ちゃん、そして少ない休日でも熱心に山と向き合うシェフグループの2人です。

そしてこの度、新たに4名の仲間が加わる事になりました。

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10月13日(日)に妙号岩で初顔合わせを行った。

集まったのは、ナオヒデ君、トっちゃん、コッチャン、ハル君、文ちゃん、マアちゃん、私。

そして新たに仲間となったO君、K君、H君、U君の4名です。

菊水山周辺を歩きに行ったり所用で帰ったメンバーを除き、この顔触れで夕方まで壁に喰らい付いておりました。

彼達のクライミング技術を見ましたが、そこそこのレベルに達していて感心させられました。これからも経験と練習を積めば大きく成長して新時代を築いてくれるでしょう。

「楽しみやね、お互いに頑張ろうぜ!」

2013年10月 5日 (土)

セルフレスキュー講習会(神戸登山研修所)

秋晴れの9月29日(日)神戸登山研修所の人口岩場(通称サル山)に於いてセルフレスキュー講習会が開講された。

クライミング中にリードするパートナーが墜落し、行動不能と云う不測の事態に陥った時に貴方が取る行動とは・・・・

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会場となった神戸登山研修所← (ここをクリック)は王子公園の東端に位置し、六甲の山並みを背景にした市街地に建っています。屋内外のクライミング施設や大小の会議室があり、一般の方々にも開放されています。また国内外の山岳登山に関する多くの蔵書が書棚に並んでおり、これもロビーで自由に閲覧することが出来ます。このように多くの利用者が訪れる神戸登山研修所は兵庫県下は元より近畿圏の登山者の情報発信拠点ともなっているのです。

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パートナーと繋がるメインロープには大きな荷重が掛かっています。この状況から、まず自らがフリーに動けるように脱出する必要があります。

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システムの手順を説明する講師のイッポン君、それを厳しい眼差しで見つめる松本講師です。

「イッポン君がえらい緊張してるで! 意識しとるなぁ」

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松本講師からバックアップの各種方法の説明が行われています。

オートブロック、ムンター、マッシャー、何とかヒッチ等々、無造作に普段は行っていますが、いざ正式な名称を言われると、

「ムムッ、これは家に帰って復習せんと!」

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要救の位置まで辿り付き、振り分け懸垂の準備に入っています。

メインロープに掛かった要救の負荷をセルフビレーに移行しています。

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本日の訓練で行っていたトップロープによるバックアップシステムです。デバイスとシュリンゲを使っています。これなら万が一のアクシデントで手を放してもバックアップで止まりロープは走りません。

このシュリンゲはエーデルワイスの7mmです。摩擦での溶解温度が通常のシュリンゲより高く安全度が向上しています。

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続いては索道搬送です(ロープブリッヂ)。研修所屋上から公園遊歩道脇の立木までラインを張ります。

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二分の一、三分の一システムを使ってビンビンにラインのセットを行います。障害物を避けて、藪の中で蚊に刺されながらの作業です。

「これは実戦さながらや、スンナリとは行きませんなぁ」

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要救を膝に乗せるようにしてタンデムで下降しています。

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遊歩道との境界フェンスに引っ掛ってしまう。ロープが荷重で撓みますから仕方ありません。再度、立木側でシステムを張り上げます。

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下降速度はバックアップを使って制動を掛けながら調整しています。

「屋上と下を何回往復したかなぁ?ホンマに実戦並みやわ」

フェンスを越えて着地し、索道搬送は完了した。
      

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安全管付きカラビナにムンターをセットした状況です。ロープの流れで安全管が回転してしまいゲートが開く事があるそうです。

朝から夕方まで続いた講習会は、こうして無事に終了しました。

「さぁ、打ち上げやで!ビール、ビール!」

乾いた喉と体に泡が染み込んでいく。

「もう一軒行こうや!もう一軒」

気が付けば日付が変わっていました。

私もイッポン君も家に帰って、大目玉を喰らったのは言うまでもありません。

「トホホ・・・・情けない」

 

2013年10月 1日 (火)

3人で200歳は超えてる!(お爺ちゃんクライマー軍団が挑む前穂高岳北尾根)

昔々のお話です。元気溌溂たる若者達が瞳を輝かせ、藍く澄んだ空と眩いばかりに輝く雪との接線を攀じっていました。ひたすら高みを目指して・・・・

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あれから気の遠くなる程の時間が流れた。
「俺達も若かったなぁ、もう一度、あの北尾根を登ってみよか」

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9月24日早朝、トっちゃん、ナオヒデ君、そして私の3人が上高地に入った。

シルバーウィークの終わった翌日です。

休日には賑わう梓川沿いの銀座通りも行き交う登山者の姿は少なかった。

「見て、見て、あそこの山ガール可愛いでぇ」

「このエロ爺ィ!お主、まだ枯れてないのか!」

トっちゃん、ナオヒデ君は昭和20年生まれ、私は昭和21年生まれと団塊の世代です。

「3人の年齢を足したら200歳を超えてますなぁ」

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今山行の計画とは、第1日目に上高地から北尾根5・6コルまで上がり、第2日目には前穂高岳を越え重太郎新道を一気に上高地へと下るのだと云う。

全ての装備を背負っての行動となるのだから、その軽量化が大きな課題となる。

テント、生活装備、登攀具、食料、水を含めると、やはりザックは10キロを軽くオーバーする重量となった。

「これを背負ってクライミングするんかいな、キツイのう!」

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それでも3人は快調なペースで飛ばし、楽々と涸沢に到着した。

5・6コルまで上がる十分な時間は有る。駄目元で聞いてみた。

「なぁ、今日は5・6コルまで行くの止めて涸沢で寝ようや、頼むからビールを飲ませて!」

優しい?2人は渋々ながら承諾してくれたのです。

「よっしゃ、言うこと聞いたる。その変わり、明日の朝は早いぞ!」

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閑散とした涸沢テント場に真新しい3人用軽量テントを設営した。

「静かやのう、貸切りやないか!」

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雪の消えた北尾根下部を知らない我々は明日に備え、ガレ場を辿り、ルートの偵察に出掛けた。振り向けばザイテン方向の斜面は紅を差して紅葉の時期を迎えているようだ。

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「10月の連休は三段染めを見に来る登山者で涸沢は賑わうやろな」

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ナナカマドの実も真っ赤に色付きました。

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爆睡してしまい、04:00に出発するつもりが05:30になってしまった。この遅れが最後まで尾を引いた。

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遅れを取り戻すべくハイピッチで5・6コルを目指して登って行く。

やがて6峰の影が涸沢圏谷に長く伸びて朝日が昇った。

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奥穂高岳がモルゲンロートに輝きだした。登行の足を止めて眺めています。

「朝焼けは昔から天気が崩れると云うね、晴天域は去ったようやなぁ」

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5・6コルに出た。丁度、奥又白から男女2人のパーティーが上がって来た。京都から来たと云う彼らは涸沢へ下り、北穂東稜を登るのだと話した。

聞けば神戸の出身でそれも私と同じ垂水区の隣り町だと云う、奇遇やねと大笑いし、お互いの健闘を祈って別れた。

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5峰は駆け登るように越えた。奥穂を越えて飛騨側から雲が激しく流れ込んでくる。間もなく視界も無くなるだろう。

午前中の勝負だと気が急くのか、自然と足早になる。

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遙か足下に梓川と横尾の小屋が見えています。

何とか今日一日だけ天気が崩れないようお願いします。

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4峰手前で完全にガスに包まれた。上部は元より、時折り数メートル先の視界が無くなる。

 涸沢側か奥又白側かルートを探りながら慎重に進む。少しでもルートを外すと浮石、ガレ、ザレのトラップが待っている。

 5・6コルで会ったパーティーから4峰正面の上部の状態が悪くなったと聞いたので奥又白側も見ておこうと回り込んだ。

「なんじゃ、ここはボロボロ、ガラガラやないか!」

北尾根で一番緊張したのは4峰の奥又白側だった。

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3・4コルに着いた。当初の想定到着タイムを取り戻している。この辺りからガスが濃くなって進むルートが見えなくなってきました。

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核心部の3峰にやって来た。ザイルを付けてトっちゃんリードで登攀開始。

 視界が悪く、手探りのような登攀が続く。

 「ここに残置が有った!ルートはこっちやわ」

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ガスに霞む3・4コルから奥又白側を覗いてみる。来年の夏は、きっと、この下に喰らい付いて居るだろう。

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クライミングシューズに履き替えて快調に登ってくるナオヒデ君。

 「油断したらあかんぞ!浮石が多いで!」

登攀中は合言葉のように口を突いて出る。

 「重いなぁ!重いやろ」

競馬のハンデ戦のように、最大の敵はザックの荷重でした。

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 ビレイ点はハーケン陣でガッチリと固められております。

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ルートが屈曲するし、先が見えないのでザイルピッチは短く切って登りました。

吹き付ける風は冷たく、レインウェアーを着ています。

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ホイッスルの合図でザイル固定を確認したミッテルの私は時間短縮を考えてぺツル・ベーシックを使って登って行きます。

快適なクライミングが続くので、時々、ベーシックで登ってる事を忘れ、微妙な体勢で慌てて送り上げます。

「Kちゃん、そんなに息急き切って登らんでも、ユックリと楽しまんかいな」

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「3峰チムニーやな、記憶にあるわ!」

 掛け声かけて越えて行きます。

 「ヨイショ、ヨイショ!」

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それにしてもガスが切れない、もう3峰のピークは近いはずだ。

今日の北尾根には我々だけが取り付いている。

眼前に対峙している2峰から前穂高岳山頂など、全く見えない。

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この2峰の懸垂下降を終えれば、登攀は終了となる。

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懸垂下降を終えてザイルを解き、少し登ると、ガスの中にボンヤリと前穂高岳の山頂部が広がっていた。

何十年振りかに登った北尾根。そこには思った程の感動や懐かしさは無かった。ただ乳白色の空間を見つめ風の音を聴きながら至福の一服。

「登った後の一服はやっぱり美味いのう!」

紫煙を燻らせて笑い合った。

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前穂高岳(3090.23m)山頂

想定していた到着時間を大きくオーバーしている。

上高地の最終バスに間に合うか微妙な時間帯だ。

「すまん、俺が涸沢でビールを飲もうと言ったのが悪かった」

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下山ルートは重太郎新道を岳沢に下ります。

岩が不安定な北尾根から一般登山道に入り気分は完全に登山終了モードになってしまった。

「まだ登山は終わってないで、気を抜かんと慎重に行こうや、かなり急な下りや!」

重太郎新道は下山途中での事故が多いと聞いた。

また、この時間帯は職場でもそうですが、ヒヤリハットや事故の発生率が高いのです。

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一瞬ですが雲の流れが途切れた。吊り尾根、奥穂高岳、ロバの耳、ジャンと峻嶮な稜線が現れた。

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左に顔を振れば明神岳もスッキリと姿を見せています。

 「帰る頃になってやっと視界が開けたなぁ」

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「重太郎ってこんなに厳しい道やったかな?」

「ようこんな場所に新道を拓きよったもんやで!」

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誰も居ない岳沢のテン場です。上高地まで駆け下るのは止めた。

下ってもゲート閉鎖のギリギリ時間だろう。

「予備日があるから無理せんと岳沢泊まりにしてノンビリと帰ろうや!」

君達と違って俺なんか、どうせ帰っても苔生した信楽の狸みたいな古女房に言われるだろう。

「なんや、もう帰って来たんかいな!お早いお帰りやこと!」

山に居る方がズーッと気が楽だ。

扇沢から引くホースも撤去されていた。岳沢小屋まで行ってみたが小屋の前にある上水道もバルブが閉まっていた。仕方なく溜まり水を汲んで今夜の食事に使った。

夜中に背中から肩にかけてビッショリと濡れて目が覚めた。なんと、ポリタンのキャップが外れてタップリの水が流れ出していた。

「なんで俺だけがビショ濡れになるんや!」

毎回のように山に入れば雨に打たれ濡れてばかり、今度こそ大丈夫だと思ったのに。

「俺、水難の相が出てるんかなぁ?」

 

 

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