« 奈良の薊岳へ | トップページ | 衝動買いをしてしまった!(スポルティバボルダーX) »

2013年7月30日 (火)

閃光走り雷鳴轟く恐怖の剣岳(平蔵谷から本峰南壁)

2013年夏山合宿は昨年に引き続き剣岳と決まっていました。問題は天気の判断です。結局は当初予定より遅れること2週間、計画実行のタイムリッミットとした7月25日(木)夜、北陸の梅雨明けを待たず、天気の好転を信じ神戸を発ったのです。

7月25日夜発~28日夜帰神としました。

Img003
まずはこの写真を見て下さい。下山途中の別山尾根から前剣方向を撮ったものです。不気味な黒雲が頂上部を覆い渦巻き、閃光が走り、雷鳴が轟き、激しい雨で壁には数条の滝が現れました。

この画像からも今回の剣岳がいかに大荒れだったかご理解頂けるでしょう。各山小屋からは登山客の宿泊予約のキャンセルが続き、最悪の7月だとボヤキが漏れていました。実感でしたね。

Photo

ルートは剣沢をベースとして平蔵谷から本峰南壁A2を登攀して頂上に到る雪と岩のアルパインルートです。

Pict0076
日程変更で参加が出来なくなった当初メンバーのコッチャン、ザコッペを除き、トッちゃんをCLとして私とナオヒデ君そしてMッチの4名です。

今回の剣岳はMッチの登山技術向上を考慮して組まれたプランであるとも云える。

  

 P7260018
室堂から雷鳥坂を重荷に喘ぎ、4時間で剣沢に到着です。

この日の天候は曇り、日差しは無くて暑さは感じず、歩くには良いコンディションだ。

剣沢キャンプ場は閑散としていた。天気が悪く入山者が少ないのだ。

Mッチはご機嫌斜めです。隣りに設営したパーティーが煩いと怒っているのです。

「何がビールで乾杯じゃ!やかましいわい!」

辺りは完全に濃いガスに包まれ、夜半には雨がパラついた。明日の天気もどうなる事やら。

20:00には眠りに落ちた。

Cimg2071

天気を考えると昼頃には山頂に抜けたい。今日は午前中の勝負だと考えています。

04:00にテント場をスタートした。剣沢をアイゼンを装着して一気に下った。
 

  P7270024

平蔵谷の出合に到着した。取り付きには目印となる巨岩があります。見上げれば重たげなガスが垂れ込め平蔵谷上部はまったく隠れて見えません。

   Cimg2082

右手の源次郎尾根を見て、現在の高度地点を判断しています。

「あそこが1峰と2峰のコルやなぁ、南壁はまだまだ先やな、しんどい登りやわ」

 P7270026
「オーイ、南壁はどこじゃ?もっと右かな?」

風が動きガスが薄れた。右手に岩壁が見えてきた。ボンヤリと平蔵のコルや登山者の姿が見える。   
P7270027

どれがA2かと意見が分かれています。資料の写真と照らし合わせて確認します。

「あそこに見える顕著なバンドがA2の取り付き点やわ、トっちゃんが正解ですなぁ」

A2の確認は出来たものの、大きなシュルンドが口を開いていて渡れません。

急な雪面を行ったり来たり、やっと見つけたシュルンドの崩壊点から下降する事にした。

P7270030

大きなキノコを切ってザイルをセットしました。ザイルにバックアップを取り、一人一人、慎重に下降します。

「へビー級の俺が先に降りて確認するわ」

Dscn0097002

A2から別山尾根平蔵のコルを見ています。残雪が多いとは聞いていましたが、シュルンドは4~5mありました。

Cimg2090

平蔵谷を見下ろしています。画像左下に見える露岩の間を抜けて上がってきました。

「こうして眺めると平蔵谷も上部は、なかなかの傾斜やなぁ」

小雨が降って岩壁は濡れましたが、ガスの切れ間から青空も見えて天気の心配も消えたかに思えたのですが・・・・

P7270032
当初はA1とA2に分かれて登攀し山頂で合流するとしていました。しかし今日の状況では同ルートを距離を開けて登るのが賢明だとの結論です。

先行パーティーはトっちゃん、Mッチです。

約7ピッチで150mから200mの高差を剣岳山頂に向って登り切るのです。
 

P7270036
今日の岩は湿って滑ります。しかし浮石に注意さえすれば問題無し、快調にザイルを伸ばしていきます。

「青空が出て来た、岩が乾いたら快適やぞ!」

  Cimg2087

残置ピンが多くシュリンゲを多用します。要所にはカムを効かせて慎重かつハイピッチで登るトっちゃんです。
Dscn0099001 

こうして上から見るとシュルンドがパックリと口を開けていますね。

「あれでは近づけんわなぁ」

Cimg2088

棚には岩屑が堆積しザイルを引いただけで落石となります。先行のトっちゃんパーティーが丁寧に除いて積んでおりました。

「行き届いたご配慮に感謝いたします」

平蔵のコルから下降してくる登山者が見えています。
  

Cimg2093

ビレイ点には2人が立てます。先行のトップが動けば後発のトップが上がります。

核心部を抜け、先行組からコンテで行くとの合図が聞こえてきた。次のピッチで後続組もコンテにしようとした矢先、急速に黒い雲が流れ込んで風が強まった。 やがて雷鳴が轟き、小豆粒位の雹がヘルメットを叩き出した。雹は辺りに白く積もったものの、すぐに雨へと変わり視界は閉ざされてしまった。

頂上へ直上するか左方向に出るか、雨とガスの前方を睨んでいると、先行組からのホイッスルが聞こえた。

「ナオヒデ君、左方向に早月尾根への分岐標識が見えてるわ!A2はもう終わってるようやで!」

   Cimg2094

「Mッチ君、登頂おめでとう、そしてお誕生日おめでとう」

剣岳(2999m)2013年7月27日12:40

誰も居ない貸切りの山頂でした。

彼は昨日が誕生日だったのです。この山行は印象深く、きっと思い出に残る事でしょう。

  P7270039001

風雨吹き荒ぶ山頂部から急ぎ下山にかかる。カニノヨコバイを通過し梯子場へ、鎖にはセルフを取って安全を確保しています。

閃光走り、雷鳴轟き、雹が打ち付けると最悪の状況下でも余裕をもって慎重に行動しています。

梯子を下った所に壊れた小さなトイレ?小屋があります。この小屋に入って雷雲をやり過すことにしたのです。トイレですが扉も無く、便器を外し板が張られ、立ったままだと4名は入れました。

「これがホンマの雪隠詰めやなぁ」

「俺達はクサい仲と云うこっちゃわ」

  P7270040暫く避難していると雹も治まり雷鳴も少し遠退いたようだった。

「少しは良くなったみたい、雨だけなら問題無しやね、さぁ行こうか!」

それは平蔵のコルから前剣に向う辺りでの事だった。

Mッチのザックに刺したバイルからブーンと低く蜂の羽音のような共鳴音がし、パチパチと放電するような音と共に生臭い匂いがしました。オゾン(O3)が発生したようです。

彼は駆け出して身を伏せました。ナオヒデ君も岩陰で体勢を低くしています。

私も岩に身を寄せ身構えました。その途端、西面の空間に強烈な閃光と雷鳴、否、爆発に近い衝撃が走った。

身体がグラつきました。

「ワオーッ、近かったなぁ、怖い!」

後で知ったのですが、この日、雷鳥坂では落雷の衝撃で吹っ飛ばされ2名の負傷者が出たそうだ、直撃でなかったのが不幸中の幸いです。

前剣の山頂部は姿勢を低くして、

「雷さん来るな、雷さん来るな、来んといて!」

駆け抜けて行きました。

   P7270041

久し振りに恐怖感を味わった。剣岳は立山曼荼羅では地獄の針山として描かれている。今回は正にそれを嫌と云うほど味わった。

一服剣付近、ここまで下れば何とか安全圏に脱出したという安堵感を感じる。

12時頃に荒れ出した天気は治まる気配を見せず、翌朝の撤収時まで続いたのです。

P7280044
何か、疲れ切った顔をしていますね。

「そらそうやろ、嵐の中で長時間頑張ったもんなぁ」

剣沢小屋でビールを仕入れ乾杯です。

「Mッチの誕生祝い? 登頂祝い?それとも生還祝いかなぁ」

そして全てがタップリと水分を含み、往路よりズッシリと重みを増したザックを背に、トボトボと足取りも重く、小雨の剣沢を後にしたのです。

Mッチのヤマレコ記事です。こちらもクリックして一読下さい。

http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-327001.html

 

P7270039

« 奈良の薊岳へ | トップページ | 衝動買いをしてしまった!(スポルティバボルダーX) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1773294/52652385

この記事へのトラックバック一覧です: 閃光走り雷鳴轟く恐怖の剣岳(平蔵谷から本峰南壁):

« 奈良の薊岳へ | トップページ | 衝動買いをしてしまった!(スポルティバボルダーX) »

フォト

ブログリンク

無料ブログはココログ
2018年12月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

最近のトラックバック